手話は世界共通?各国の手話の違いと国際手話の実態を解説

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「手話は世界共通ですか?」は、手話について最もよく聞かれる質問のひとつです。結論から言えば、手話は世界共通ではありません。日本手話(JSL)、アメリカ手話(ASL)、イギリス手話(BSL)はそれぞれ全く異なる言語で、互いに通じ合うことはありません。この記事では、各国の手話がなぜ異なるのか、国際的な場面ではどうコミュニケーションしているのかを解説します。

目次

手話が世界共通でない理由

手話が国ごとに異なるのは、手話が各地のろう者コミュニティの中で自然に発生・発展してきた「自然言語」だからです。音声言語が地域ごとに異なるのと全く同じ原理です。

世界には300以上の手話が存在するとされ、各手話には独自の語彙、文法、表現方法があります。同じ国内でも地域による方言(手話バリエーション)が存在します。日本手話でも関東と関西で異なる表現が使われる場面があります。

興味深いのは、音声言語が同じ国でも手話は異なるケースがあることです。最も有名な例はアメリカとイギリスです。両国とも英語を話しますが、ASL(アメリカ手話)とBSL(イギリス手話)は全く別の言語です。逆に、ASLは歴史的にフランス手話(LSF)の影響を強く受けており、言語学的にはBSLよりもLSFに近い関係にあります。

これは手話が音声言語とは独立した系譜を持つことの証拠です。手話の分布は、音声言語の分布ではなく、ろう学校や教育者の歴史的なつながりによって決まってきました。

各国の手話の具体的な違い

ありがとう」を例に、各国の手話の違いを見てみましょう。

手話 「ありがとう」の表現
日本手話(JSL) 手刀をもう片方の手の甲から持ち上げる(行司の軍配に由来)
アメリカ手話(ASL) 指先を口元に当ててから前方に出す
イギリス手話(BSL) 平らな手を顎から前に出す
フランス手話(LSF) 口元から手を前に出す(ASLに似ているが微妙に異なる)
韓国手話(KSL) 頭を軽く下げながら手を前に出す

同じ「ありがとう」でも、手の形・位置・動きが全く異なります。これは「ありがとう」という概念の文化的な表現方法が異なるためです。

指文字も国ごとに完全に異なります。日本の指文字は五十音に対応する46文字ですが、ASLの指文字はアルファベット26文字に対応し、手の形も全く別物です。

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国際手話(International Sign)とは

「手話が世界共通でないなら、国際的な場面ではどうしているの?」という疑問は自然です。実は、国際的なろう者の集まりでは「国際手話(International Sign: IS)」と呼ばれるコミュニケーション手段が使われています。

国際手話の特徴

  • 特定の国の手話ではなく、各国の手話から広く理解されやすい表現を集めた「接触言語」
  • アイコニック(図像的)な表現が多用される — 動作の真似、大きさや形をそのまま表すジェスチャーに近い表現
  • デフリンピック、世界ろう連盟(WFD)の会議、国際学会などで使用される
  • 正式な「言語」として確立されているわけではなく、場面や参加者の背景によって通じ具合にばらつきがある

国際手話の限界

国際手話は日常会話や簡単な情報交換には有効ですが、法律、医療、学術など専門的・抽象的な内容を正確に伝えるには不十分です。そのため、国際会議では各国の手話通訳者が自国の手話と国際手話を仲介する「リレー通訳」が行われることもあります。

海外のろう者との交流方法

日本のろう者が海外のろう者とコミュニケーションを取る方法はいくつかあります。

国際手話 — 上述の通り、基本的なやりとりには有効です。旅行やイベントでの短い交流なら十分に機能します。

ジェスチャーと表情 — 手話者同士は視覚的コミュニケーションに長けているため、共通の手話がなくても身振りや表情で驚くほど多くの情報を伝え合えます。

筆談 — 英語の読み書きができるろう者同士なら、筆談(紙やスマートフォン)で詳細な情報交換が可能です。ただし、すべてのろう者が英語の読み書きに堪能なわけではありません。

翻訳アプリ — テキスト翻訳アプリを介して筆談する方法。即時性は低いですが、正確な情報を伝えるには有効です。

相手の手話を学ぶ — 最も理想的な方法です。交流が頻繁な場合は、相手の国の手話を基本レベルでも学ぶと、コミュニケーションの質が格段に上がります。

よくある質問

手話を統一して世界共通にすることはできないのですか?

技術的には可能かもしれませんが、言語学的にも文化的にも適切ではありません。各国の手話はろう者コミュニティの文化的アイデンティティの核であり、統一することはそれらの文化を消すことに等しいです。音声言語を「世界で1つに統一しよう」と言わないのと同じ理由で、手話の多様性は守られるべきものです。

日本手話に近い手話を使う国はありますか?

台湾手話(TSL)は日本統治時代の影響で日本手話と一部の語彙が共通しています。また、韓国手話(KSL)にも日本手話との共通点がいくつか見られます。ただし、いずれも「少し似ている」レベルであり、そのまま通じるわけではありません。

旅行先でろう者に会ったらどうコミュニケーションすればいいですか?

笑顔とジェスチャーで基本的な意思疎通は可能です。スマートフォンの翻訳アプリで筆談するのも有効です。「こんにちは」や「ありがとう」のASL版を覚えておくと、英語圏のろう者に喜ばれます(ASLのThank youは口元から手を前に出す動き)。相手の手話を知らなくても、コミュニケーションしようとする姿勢が最も大切です。

国際手話はどこで学べますか?

日本国内で国際手話を体系的に学べる講座は限られていますが、世界ろう連盟(WFD)の関連イベントやデフリンピック関連の研修で学ぶ機会があります。また、YouTubeに国際手話の基本を紹介する動画があります。まずは自国の手話(日本手話)をしっかり身につけた上で、国際手話に挑戦するのがおすすめです。

手話の「方言」は日本国内にもありますか?

はい、日本手話にも地域差(方言)があります。同じ単語でも関東と関西で異なる手の形が使われることがあり、年代による違いも存在します。ただし、基本的なコミュニケーションに支障が出るほどの差はなく、初心者が気にする必要はありません。NHK「みんなの手話」で学べる表現は全国で通じます。

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